6月6日、北海道砂川市で発生した飲酒ひき逃げ事故から10年が過ぎた。
何の罪もない朝日新聞販売所の家族5人が死傷し、運転していた男2人が危険運転致死傷罪などに問われ、懲役23年の刑が確定した事件。遺族や関係者の今、再発防止に向けた取り組みなどを取材した。
地元中学校での「命の大切さを学ぶ教室」では、22年前、飲酒運転の車にひき逃げされ、息子を失った女性が講演した。今も深い悲しみの中にいることを伝えた上で、女性は、将来の運転者に「二度と同じ悲しみを生まないでほしい」と訴えた。
昨年、全国では飲酒運転による交通事故が2346件発生した。このうち死亡事故は140件。1276件だった2000年と比べると9分の1に減った。
背景には、厳罰化もあるが、地道な取り締まりや、つらい記憶と向き合い、声を上げ続けてきた遺族、関係者の努力も大きい。
飲酒運転の死亡事故率は、飲酒していない場合の7.4倍(24年)にのぼる。昨年起きた140件では149人が命を落とした。
うち40人は飲酒運転した運転手でも、同乗者でもなかった。交通ルールを守って運転していた人や歩行者だった。
取材に応じてくれた関係者は、一様に飲酒運転による犠牲を悔しがり、言った。
「大切な人が、ある日突然、事故に巻き込まれるかもしれない。そう考えたら、絶対に飲酒運転なんてできないはずだ」